研究概要 |
1.膵癌関連SPanー1抗原の膵癌診断での意義。 膵癌の血中診断を目的に我々が開発した膵癌関連抗原、SPanー1抗原を測定することによって、膵癌の診断的意義について基礎的、臨床的に検討を行った。膵癌を中心として消化器癌での検討では、膵癌で90%以上の陽性率が認められ、消化器癌のなかで最も高くまた少数例での検討ではあるが、stageI〜II症例での比較的高い陽性率もみられた。膵癌診断上しばしば鑑別に難渋する慢性膵炎とくにその一病期である腫瘤形成性膵炎と膵癌との鑑別診断に血中SPanー1抗原値が非常に参考になることも明らかになった。次に、膵癌の治療効果判定、モニタ-リングにおけるSPanー1抗原値の有用性を担膵癌ヌ-ドマウスおよび切除膵癌症例で検討をおこない、SPanー1抗原値が膵癌の病態をよく反映することが認められた。以上、血中SPanー1抗原の測定は、膵癌の診断、良性膵疾患との鑑別、モニタ-リングに有用であることが判明した。 2.Nd2を応用した膵癌のRadioimmudetection,Radioimmunotherapyの基礎的、臨床的検討。 膵癌関連非分泌性抗原を対応抗原とするNd2の腫瘍イメ-ジング、ミサイル療法の可能性について基礎的、臨床的検討を行った。Nd2の膵癌組織に対する高い特異性は免疫組織学的に確認された^<125>IーNd2,^<111>InーNd2による担膵癌ヌ-ドマウスでの検討で、膵癌組織への高い集積性、良好な腫瘍イメ-ジングが認められた。さらに膵癌臨症例においても腫瘍イメ-ジングの有用性が確認され、今後、臨床的検討をかさね膵癌早期診断の可能性についても追究していく予定である。一方、現在膵癌のミサイル療法にむけて抗原活性を保持したNd2とAdriamycinの複合体の作成に成功しており、今後^<131>IーNd2,^<90>IーNd2によるRadiommunotherpyの可能性も含めて検討する予定である。
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