研究概要 |
研究成果を次の3項目にまとめる.1)棘波の自動検出:検出パラメ-タの尖鋭度の指標に二次微分値を用い,持続時間と振幅を藤森法で計測したが,尖鋭度と振幅の判定基準値は予備分析を行って症例および誘導法毎に対応的に決定する方式を試みた。この方式による自動検出率は,同一波形182サンプルを3名の専門医が視察した結果と対比したところ,89.7%で,第1種の過誤が10.3%,第2種の過誤が2.2%であった.これは従来の報告に比較しても高い検出率であり,トポグラフィ処理に十分応用可能な方式であった.2)棘波出現間隔ヒストグラムと基礎律動の等価的電位トポグラフィの合成:脳波トポグラフィは各周波数帯域における平均パワ-の平方根を各周波数のもつ脳波の等価的電位と定義し,20配色の二次元カラ-表示を行った.モンタ-ジュは仮想値を含む5行6列のマトリックスに対応させた.ヒストグラムはX軸に棘波出現間隔を,Y軸に棘波出現個数をとり,脳波解析時間を1エポック2,007秒の単位とし,そのサンプリング・インタ-バル毎にヒストグラムが作成され,部分てんかんの脳波解析に応用した.基礎律動と棘波の出現様態が集約的に観察可能であり,時系列的な定量表示として有用であった.3)棘波の形態評価と基礎律動の等価的電位トポグラフィの合成:棘波の形態評価の指標を3方法で検討し,波形のスロ-プの比を直接用いずに,波形の持続時間の比にスロ-プを置換する方式を自動処理の立場から考察して,その妥当性を検討した.測定した波形を平均±1標準偏差をもとに3群に分け,所定の三角形で表示し,それを脳波トポグラフィに合成した.合成像は連続的に処理され,波形の電位変動と形態変化がダイナミックに経時的に観察可能となり,部分てんかんの病態解析の一方法として有意義であった.
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