研究概要 |
実時間ホログラフィ干渉法が計測対象の経時的変形を捕らえるに適した1方法であることはよく知られるところであったが,再生像の暗さからこれを記録に残すには困難を逆めた.しかしながら近年のエレクトロ技術革新に伴う高出力Arレ-ザ出現と高速度シャッタ-を有したビデオ機器の画像精度,感度の改善により,以前より容易にホログラムの再生像を鮮明に,実時間で記録に残すことが可能となった.本方法により骨・軟骨の表面に外力下に発生する変形の経時的な変化を鮮明に捕らえることが出来るようになった.また,本手法とは別に,レ-ザを用いた変位センサ-も併せて用いることにより,骨・軟骨表面等の変形を3次元的に捕らえることが容易になり,より詳細な情報を得ることが出来るようになった. 一方,ホログラフィ干渉法が対象物の物質や形状に関係なくその変形を捕らえることが出来る特長を利用し,創外固定装置やプレ-トで固定を行った骨の変形計測も引続き行い各種固定装置の問題点や,同一の固定装置での着装手技による固定力の変化も比較検討した.さらに,これらの計測に当たっては,ストレンゲ-ジを用いた検索も併せて行い,大きな荷重下に計測対象物に発生する変形がホログラフィ干渉法で得られた情報とよく一致することが確認できた.また逆に,予めホログラフィ干渉から得られた変形の情報をもとに最良のストレンゲ-ジの貼付位置や方向を決定することも非常に有用な手法であることが判明した. ホログラフィ干渉法はその計測方法が特異であることから,その計測にあたっては技術的な困難はあるものの,面の変化(または3次元)として得られる情報量は多く,ストレンゲ-ジ,変位センサ-や有限要素法などの他の解析法と併せて用いることで,今後整形外科領域でも活用範囲の広い1計測方法であると考え,引続き実験を継続中である.
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