研究概要 |
本研究に支給された平成元年度の科学研究費助成補助金は190万円であった。3月現在までに全額使用が完了しており、内訳は設備備品としてレクチホリ-記録器1,214,370円、消耗費として混合ガス、モルモット、フロッピ-、記録紙その他として665,957円、旅費が22,240円であり、総支出1,902,567円となり、不足額2,567円は預金利息で充当された。 研究実績に関して、in vitroでの気管平滑筋の張力測定を上皮損傷群と上皮正常群とで比較し以下のような成果が得られた。外因性の収縮葉アセチルコリン、ベサネコ-ル、ヒスタミンそしてKCL投与によって気管平滑筋は用量依存性の収縮反応を示した。しかしベサネコ-ル以外は上皮損傷群で正常群に比し有意な収縮の増強反応がみられ、気管上皮が正常時何らかの弛援作用を司どっていることが実証された。そこで、この弛援因子に影響を及ぼさないベサネコ-ルで部分収縮を得た標本に対して各種吸入麻酔薬の弛援作用が上皮損傷群と正常群でどのような違いを示すかを検討し、次のような興味ある成績を得た。吸入麻酔薬のうち、特にハロセンとエンフルレンは上皮損傷群で正常群に比し弛援効力が低下する傾向があり、吸入麻酔薬の気管支拡張作用の特序として気道上皮の関与する可能性が示唆された。しかし臨床的にはイソフルレンやセギフルレンもにも喘息発作に対する治療効果がみられることから、中枢性の機序も無視できないことが判明した。また上記アセチルコリンとベサネコ-ルの作用態度の違いから、気道上皮には抗コリンエステラ-ゼ作用を有する因子も関与しているとの新しい知見も得られた。引き続き、気道上皮の果たす役割を寒冷刺激との関連において低温条件下で、in vitroとinvivoで追求して行く予定である。
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