研究課題/領域番号 |
01570864
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大谷 美奈子 広島大学, 医学部附属病院, 助教授 (10033995)
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研究分担者 |
梶原 博毅 広島大学, 医療技術短期大学部創設準備室, 教授 (20034184)
岡林 清司 広島大学, 医学部附属病院, 講師 (50127627)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1991年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1990年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1989年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 熱傷ショック / クッパ-細胞 / 貧食能 / エンドトキシン / 脾臓白脾臓 / 細胞壊死 / 脾臓白脾髄 / リンパ濾胞 / 濾胞辺縁帯 / 貪食能 / 遊離ヘモグロビン / マクロファ-ジ |
研究概要 |
広範囲重症熱傷ショック期におこる病態は、全身各臓器に対する熱の直接的な影響とその結果招来される血管透過性亢進による循環血液量減少および細網内皮系の機能低下であるとされている。 我々は、熱傷ショックという侵襲に対する細網内皮系の変化を検討する目的で、肝クッパ-細胞について熱傷のみの影響、エンドトキシンショックが加わった場合の影響、リンパ系への影響を見るために脾臓についてそれぞれ形態学的に検討した。 1.肝クッパ-細胞は、変性した自己細胞や、細菌、エンドトキシンなどの異物を血中から除去する貧食細胞として、細網内皮系のなかでも重要な役割をはたしている。熱傷時の貧食能低下の機序は、いまだ充分明らかにされていないが、熱傷時には血管内溶血が生じ血漿中に大量のヘモグロビンや赤血球の遺残物が遊離し、それらが肝のクッパ-細胞で処理されることはよく知られている。 そこで我々は、熱傷時の細胞内皮系機能の低下の原因として溶血と肝クッパ-細胞に注目し、ラットに50%の皮膚全層熱傷モデルを使用して光学顕微鏡、電子顕微鏡で経時的に観察した。その結果、熱傷時の細網内皮系の機能低下は、溶血によって生じた血漿中のヘモグロビンが肝クッパ-細胞に貧食され飽和状態になること、その後肝クッパ-細胞の数の減少が生じることにより招来されると考えられた。 2.30%III度全層熱傷にエンドトキシンを投与すると、肝クッパ-細胞の変性、脱落が極めて早い時期からみとめられた。熱傷ショック時には、生体の免疫能が低下し、細菌感染から敗血症性ショックやエンドトキシンショックを併発することも稀ではなく、この原因としてマクロファ-ジの機能低下の可能性が示唆された。 3.免疫系としてリンパ球機能も重要であり、リンパ装置の形態学的検索の目的で熱傷ラットモデルの脾臓白脾髄について光学顕微鏡、電子顕微鏡で経時的に観察した。熱傷ショック時の変化は、まず分裂増殖の激しい胚中心細胞より始まり、次いで血管に富む濾胞辺縁帯、最後に血管が疎なリンパ濾胞に細胞壊死がおこった。このことから、白脾臓髄内細胞の変性壊死には循環障害によるanoxiaだけでなく、血中に遊出した細胞障害物質も関与している可能性が示唆された。
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