研究課題/領域番号 |
01570904
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
萬谷 嘉明 岩手医科大学, 医学部・泌尿器科, 講師 (20146062)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1989年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ヒト陰茎 / 陰茎海綿体 / 血管構築 / 動静脈吻合 / 上皮様細胞 / 神経支配 / 血管鋳型@走査電顕 / 免疫電顕 |
研究概要 |
ヒト陰茎(摘出陰茎)の血管鋳型を走査電顕で観察し、ヒト陰茎海綿体内には、ラセン動脈から海綿体洞を経て海綿体後小静脈にいたる「勃起血管系」の他に、以前よりその存在が不明であった陰茎深動脈の枝(小桂内動脈と命名)から毛細血管を経て白膜下静脈叢にいたる「栄養血管系」の存在を明らかにした。今回はさらに、この2つの循環路における神経性の血流調節機構について検討した。(1)血管鋳型/走査電顕法で、さらに、樹脂の低圧注入時と高圧注入時について検討すると、前者では栄養血管系が、後者では勃起血管系がよく出現しており、神経性の調節を受けない状態においても、血管系そのものに、流体力学的に陰茎の弛緩時や勃起時の血流動態に適合した構築となっていることが確認された。(2)超薄切連続切片/免疫電顕法により、ラセン動脈と海綿体洞との間にある動静脈吻合部の観察に成功し、その血管壁が上皮様細胞により構成され、豊富な神経分布を受けていること、また分布している無髄神経線維にはアセチルコリンと共にVIP,NPY等のペプチドが含まれていることが明らかとなった。以上の知見より、この部位が真の(機能的)動静脈吻合であり、陰茎海綿体内の血流調節(弛緩時に閉じ、勃起時に開く)に重要な役割を果たしていることが考えられた。また、(3)陰茎深動脈の尿道海綿体枝のゆくえについて検討したが、この枝は尿道海綿体洞へは直接流入しておらず、いわゆるWagnerのバイパス経路は存在しないと思われた。(4)静脈流出面積/海綿体洞体積比を計測し、陰茎海綿体洞と尿道海綿体洞の血液流出能を比較すると、前者は後者の約1/10程度しかなく、陰茎海綿体洞そのものがプ-ルされた血液をきわめて流出させがたい構築であり、海綿体小桂平滑筋が弛緩するだけで勃起が維持される可能性が推察された。(5)今後、勃起の維持と消退についてのメカニズムを、組織消化法と免疫電顕法を用いて、さらに検討していく予定です。
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