研究概要 |
1.抗ブタZPー4モノクロ-ナル抗体の作成とブタZPー4の精製及びそのアミノ酸配列の決定ブタ・ヒト透明帯に共通に反応するモノクロ-ナル抗体を5種作製した。そのうち3種(4A2,4E12,5H4)はヒト精子の透明帯への結合を阻害した。5種の抗体はいずれも透明帯糖蛋白質の蛋白質部分を認識していた。4種(2A1,2G3,4A2,4E12)は透明帯蛋白質(ZPー1,ZPー2,ZPー3,ZPー4)のZPー3に強く反応した。5H4はZPー4と強く反応し、ZPー1とも反応した。前述4丁はトリプシン感受性、キモトリプシン抵抗性であったが、5H4はトリプシン抵抗性、キモトリプシン感受性であった。ZPー4を単離し、各種のendopeptidaseにより断片化として逆相HPLCで溶出することにより、幾つかの断片のN末端側アミノ酸配列を決定した。また5H4の認識する配列がArgーValーArgーGlyーHisーHisーGlnーMetーThrーIleーArgであることを推定した。 2.ブタ卵巣のcDNAライブラリ-の作製とスクリ-ニング ブタ卵巣よりmRNAを抽出し、random primerを用いてそのcDNAを合成して、それをファ-ジベクタ-λgtllに組み込み、independent plaqueが1×10^6pfuのcDNAライブラリ-を作製した。脱糖したZPー4に反応するモノクロ-ナル抗体(Mab),5H4をプロ-ブとしてこのライブラリ-をスクリ-ニングしたが、5H4に反応するクロ-ンを得ることは出来なっかった。次にブタ卵巣のmRNAを鋳型に、oligo(dT)primerを用いてcDNAライブラリ-を作製した。5H4を抗体プロ-ブにしてスクリ-ニングを行なったところ、5H4に反応する二種類のクロ-ンを得、その塩基配列を決定した。一つは、コラ-ゲンをコ-ドする遺伝子と非常に高いホモロジ-を示し、他は既知のものとは異なる蛋白をコ-ドするものであるが、いずれにも既に決定されているZPー4のアミノ酸配列は含まれておらず、5H4の交又反応によるものと思われた。 3.ヒト卵巣のcDNAライブラリ-のスクリ-ニング 5H4はヒト卵巣の透明帯にも交又反応性を示すので、クロ-ンテック社より購入したヒト卵巣のcDNAライブラリ-(λgtllをベクタ-としたもの)を5H4をプロ-ブとして、スクリ-ニングした。反応する二つのクロ-ンを得ることができたが、やはりそれらには、ZPー4のアミノ酸配列は含まれていなかった。
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