研究概要 |
1.空中飛散スギ花粉数の予報化について;平成元年度並びに平成2年度の空中飛散スギ花粉数の観測と発症患者登録から以下のことが判明した。(1)スギ花粉飛散の開始はダ-ラム型花粉捕集器を用いた場合、地元のスギ雄花開花(標準木)の1〜2周間前に認める.この後花粉症患者の発生は散発的に出現し地元のスギ花粉開花時には約30%の患者が発症しており(通算約20個の花粉飛散),その後1週間で95%以上の発症があることが判明した。尚,症状の強さは飛散花粉数に比例し,有病期間も花粉飛散期間,特に後判認められるヒノキ科花粉に左右されることが判明した。かかる観測紀量と臨床的事実から平成2年度及び3年春は花粉飛散予報において,地元のスギ花粉開花時期の推定とヒノキ科花粉飛散の傾向について解析を加えた。現在平成3年春については進行中であり,確定したことは言えないが,ヒノキ科花粉飛散は明らかに増加しつつあり,今後は有病期間の延長という点で注意が必要である。スギ花粉飛散におけるピ-ク形成で認めたような花粉飛散に及ぼす気象の影響の検討には今後数年間の観測が必要である。 2,スギ花粉症の免疫学的研究について;平成2年度よりスギ花粉症患者の免疫担当細胞の変化(季節的)をCD23,抗比4抗体を用いて検討しているが,スギ抗原の出現とCD23陽性細胞,及びIgE産生細胞には差はなく,またRASTによるIgE抗体にも有意な季節変動は認めなかった。ただ平成3年1月に施行したスギ花粉症患者四済のCAPシステム検査では87名の被検者中92%にヒノキ科ビャクシン陽性,15%にハンノキ科陽性を認め,春の樹本科花粉症の複雑な抗原構成を認めた。
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