研究概要 |
1.基礎的研究としては先ず2種類の頭頚扁平上皮癌株(KB細胞,HEpー2細胞)を用い,cisplatin(CDDP),5ーfluorouracil(5ーFU),methotrexate(MTX),bleomycin(BLM)に対する耐性株をin vitroで誘導,樹立し,それらの薬剤感受性の変化をin vitro(増殖阻害活性,colony形成法)で検索し,さらにCDDP耐性株はヌ-ドマウスを用いてin vivoで検索し,それらを親株と比較することにより,下記の結論を得た。 (1)CDDP株はin vitroでMTX,BLM,mitomycin C (MMC),peplomycin(PEP)に対し交叉耐性を示したが,5ーFU,vincristine (VCR),adriamycin(ADM)にはほとんど変化がみられなかった。KB細胞のCDDP耐性株はヌ-ドマウスに移植可能であり,移植された腫瘍はCDDPに対し完全に耐性であった。この腫瘍は MTX,ADMにはやや感受性が低下したが5ーFUにはほとんど変化がみられなかった。(2)5ーFU耐性株は in vitro でCDDP,MTX,PEP,VCRに対し,交叉耐性を示したがBLM,MMC,ADMにはほとんど変化がみられなかった。(3)MTX耐性株はin vitroでBLM,VCR,PEP に交叉耐性を示したが、CDDP,5ーFU,MMC,ADM にはほとんど変化がみられなかった。(4)BLM耐性株は in vitro でCDDP,PEPに対して交叉耐性を示したが,5ーFU,MTX,MMC,VCR,ADMにはほとんど変化がみられなかった。 2.臨床的研究としては頭頚部再発癌6例に対し,VMP(vindesine,MTX,PEP)療法とCF(CDDP,5ーFU)療法による非交叉耐性連続的化学療法を試み下記の結果を得た。(1)6例中CR1例,PR2例で奏効率は50%,CR率17%であった。(2)治療経過中,縮小効果が薬剤に次第に感受性が低下するなど耐性細胞の出現を示唆する反応が認められた。(3)副作用が骨髄毒性,腎毒性,口内炎,悪心・嘔吐などがみられたが、多くはコントロ-ル可能であった。今後さらに症例を重ねて検討したい。
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