研究課題/領域番号 |
01570987
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
菊地 裕子 北海道大学, 歯学部, 助手 (30001944)
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研究分担者 |
谷口 和弥 北海道大学, 理学部, 教授 (40028204)
八木 康一 酪農学園大学, 教授 (90000728)
渡邊 継男 北海道大学, 歯学部, 教授 (10064362)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | カルシウムイオン / 口腔常在細菌 / ストレプトコッカスミュ-タンス / 代謝調節機構 / 螢光分光測光法 / 細胞内遊離カルシウム濃度 / グラミシジン / マイコプラズマ |
研究概要 |
真核細胞の代謝調節へのCa^<2+>の関与は、生命科学分野の中心課題である。一方、原核細胞では、グラム陰性のε.coliの細胞内遊離Ca^<2+>量がRosenら(JBC、262、'87)より90±10nMであると報告されたが、代謝系におけるCa^<2+>の関与は不明である。我々はエナメル質の溶解によって生じた高いCa^<2+>環境に口腔細菌がいかに適合するかにも興味を持ち、グラム陽性のStr.mutansの細胞内遊離Ca^<2+>量の測定を試みた。ε.coliの場合と同様の5μMのfura2-AMを負荷したが、OD当りの蛍光強度がε.coliの1/10程度の試料しか得られなかった。そこでfura2-AMを濃度を変えて、負荷したところ、蛍光強度はシグモイド状に増加し、50μMで飽和した。この蛍光強度は、2価イオンイオノフォア(49μMグラミシジン)と41μM Ca^<2+>存在下で約2倍に増加した。一定条件下での細胞内遊離Ca^<2+>濃度を知るために集菌後fura2-AMを負荷し、測定を行った。緩衝液に懸濁された菌の細胞内遊離Ca^<2+>濃度は、0.09μMと推定された。グラミシジンの添加で、細胞内遊離Ca^2+濃度は、2.2μMに増加した。外液Ca^<2+>濃度の変化に応じて細胞内遊離Ca^<2+>濃度は変化したが、20μM以下のCa_<2+>では、細菌細胞内のCa^<2+>濃度は約0.1μMに保たれていることが示唆された。グラム陽性のStr.mutansの細胞内遊離Ca^<2+>濃度は、グラム陰性のε.coliとほぼ同一であることがわかった。次に細胞質膜のみを有するMycolplasmaの遊離Ca^<2+>の測定を試みた。その結果、Mycoplasamaのpreliminaryな細胞内遊離Ca濃度がグラム陽性菌、陰性菌に比べ4〜6倍、多いという結果を得たことは、今後、詳細に検討する余地があるものと思われる。今回、細胞内遊離Ca^<2+>濃度測定に成巧したが、今後の計画として、種々の環境下でのStr.mutansおよびMycoplasmaのカルシウムの細胞内局在をX線マイクロアナライザ-と電顕下で観察し、細胞内の遊離Ca^<2+>量の変動と生理機能との相関を細胞構造に基づいて考察したい。
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