研究概要 |
近年、骨の非コラ-ゲン性蛋白が注目され、特にミネラルと関係が深いとされているOsteonectin,Osteopontin,Osteocalcin,α _2HSglycoprotein 等が注目されている。しかし、これら多数の非コラ-ゲン性蛋白に関する研究は主として生化学的に行われてきており、形態的な所見は少ない。初年度は生化学的に骨の非コラ-ゲン性蛋白質を抽出し、それらのゲル上における染色性を利用し、組織化学的に骨組織を染色し、形態的な局在を検索した。ミネラルと関係する三つの非コラ-ゲン性蛋白(分子量は各々90kD,66kD,49kD)が見いだされた。そのうち血清由来と考えられる49kD以外の蛋白はゲル蛋白はゲル上でStains allにより青色に染色された。Stains allを用い、ラット頭蓋骨を組織化学的に染色を施した。この染色性は非脱灰標本では縫合部のような幼若で石灰化の進行している極く一部分を除いて殆ど認められなかったのにたいして、脱灰標本では骨基質全体が青色に染色された。特にCement line様の構造物が濃染していた。また幼若な石灰化の進行している部位では顆粒状の染色性を示した。類骨、骨芽細胞、骨細胞は染色されなかった。本年度はStains allに可染性で抽出順序から基質に最も密に結合していると考えられた90kDのタンパクを抗原とし、家兎を用いて抗体の作成を試みた。免疫反応は脱灰、非脱灰試料共に骨基質全体と初期石灰化部位に認められ、特に石灰化した骨基質と類骨の境界部分の反応産物は石灰化球に一致して顆粒状を呈していた。脱灰試料ではrestingの骨芽細胞に面した石灰化骨基質の表面に沿って反応が強く観察されたが、類骨ではほとんど反応が認められず、軟骨基質にも反応は認められなかった。今回用いた骨の非コラ-ゲン性蛋白は抗原性を有する事、骨組織に特異的である事等から、免疫組織化学を用いることにより骨形成における非コラ-ゲン性蛋白の局在や分布観察する上できわめて有効であると考えられた。
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