研究概要 |
研究は申請時の内容に従って以下の如く行われた。1.試料にウィスタ-系ラット新生仔の生後10,11,12,13,14,15日目の頭頂骨内側表面を用い、2.固定に通常のグルタ-ル・オスミウム酸溶液を用い、3.軟部組織は次亜塩素酸溶液で腐蝕除去した。水洗し、臨界点乾燥後の試料は金蒸着され、4.JSM-35C型(JEOL)走査電顕で観察された。5.形態計測は200倍以上の数種倍率の写真上で試みられ、6.計測項目は骨形成面と骨吸収面の面積量、骨芽細胞の入る“Forming lacunae(Boyde,1972)"と骨細胞の入る骨小腔の数を大きさである。 結果では、1はその成長過程の大要が判明しているので、後の解析も含め資料として採用したが、結果は良であった。2は問題なく、3の作成は骨の性質上脆くなり、破損が多く、注意深く取り扱う必要性が認められた。4は性能上問題はなく、試料回転・傾斜装置付きの型式であればいずれも可である。5は100倍で全体の形状を検討し、計測にニコンコスモゾ-ンISA型(ニコン)を用いたが、400倍以上が望ましい結果となった。しかし、逆に高倍は計測領野を狭くするので600倍位までが良いと考えられた。6は骨改造機構と関係して骨形態を計測するには、この4項目はパラメ-タ-として必須であり、更に血管孔も加味すれば更によい結果が得られるだろうと推察された。 試料460倍写真上で矢状側と側頭側に各々7×10^4mm^2面積枠の計測域を設定し、二次元画像解析を行った成績では、活発な骨形成に与かるForming lacunaeの数と骨形成面積量は矢状側が側頭側より2日先行して優り、以下経日的に矢状側では骨小腔の数が増加し、側頭側では骨吸収面積量の減少、次いで骨形成面積量の増加となった。骨成長から肯定出来るこの結果は走査電顕法導入の可能を示唆している。
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