研究概要 |
ラット耳下腺腺房細胞をトリプシンとコラゲナ-ゼを用いて作成し、サブスタンスP受容体の同種脱感作機構において、サブスタンスP受容体蛋白質のリン酸化が関与するか否かについて検討し、次の結果を得た。 1.サブスタンスPで前処理した細胞から膜分画をとり、〔^<125>I〕サブスタンスPの結合数およびアフィニティ-を測定した結果、サブスタンスPで前処理しない細胞からの膜分画に比べ、結合数のみが有意に減少していた。 2.〔^<125>I〕サブスタンスPを腺房細胞の膜分画にジサクシニミジルサブレイト(DSS)を使用しクロスリンクさせ、SDS-PAGE電気泳動法によりサブスタンスP結合蛋白質を検討した結果、その分子量は約60,000であることを確認した。 3.^<32>Pを取り込ませた腺房細胞を、サブスタンスP刺激し、その後膜分画を分離し、SDS-PAGE電気泳動法でリン酸化を検討したところ、サブスタンスP刺激によって、分子量60,000と33,000の蛋白質がリン酸化された。 以上のことは、サブスタンス刺激によりその受容体がダウンレギュレ-トされることがサブスタンスP作用の脱感作の原因であり、さらにその過程に分子量約60,000のサブスタンス受容体がリン酸化される可能性を示している。さらに、このサブスタンスP受容体蛋白質は1.0%のCHAPSで腺房細胞の膜画分より可溶化することができた。現在、この分画でのサブスタンスP受容体蛋白質の性質を検討中であり、この蛋白質への〔^<125>I〕サブスタンスPのクロスリンクを試みており、また、この蛋白質のリン酸化を得ることにより、より直接的なリン酸化の関与の証明になるものと思われる。
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