研究概要 |
生体膜の主要構成要員である各種膜脂質は固有の代謝系を介して外来刺激を細胞内に特定の情報として伝達する動的教能を果たしている。そのうに刺激受溶体とアゴニストの結合によって開始される情報伝達機構には新しく生成したジアルシルグリセロ-ル(DAG)がプロティンキナ-ゼCと結合してCa^<++>に対する感受性を増大させ,活性化される経路が知られ,唾液腺においても重要な分泌応答機能発現に関与していることが報告されている。本研究はこのような現状から本機構に関連したDAGに実態,即ち細胞内での存在特性,アシル鎖特性とその決定要因などについて観察を行ってきた。 このうちラット顎下腺並びに耳下腺ホモジネ-トから分画したDAGのアシル鎖特制は79%以上が飽和脂肪酸(16:0,18:0)であり,不飽和脂肪酸は約13%のオレイン酸以外,高度不飽和脂肪酸は微少成分であった。このタノラミン(PC,PE)などとは異なる。したがって情報伝達に関与するDAGの snー2 位の高度不飽和脂肪酸の存在特性は燐脂質からの転換か,同位の組成の組み変え機構が考えられた。この点ではミクロソ-ムに存在するホスホリパ-ゼA_2(PLーA_2),1ーアシルグリセロ燐酸及びホスホコリンアシトランスフェラ-ゼ(GP(C)ATase)などの活性発現に係る特性を明確にした。更に従来微量成分として取り扱われたエ-テル型燐脂質の膜における存在比率とその脂肪酸組成の哲量並びに 1ーアルケニルーGPC ATase 活性の特定から本研究に新しい分野を開くことができた。更に一連の機構には分泌応答系の分泌顆粒膜と腺細胞膜融合機構が連運する可能性を膜結合性 PLーA_2活性の特定と共に示唆するこてができた。 DAGの特性に係る以上の研究成果は分泌刺激に応答する腺細胞内代謝の基礎的事項を明確にしたと評価している。
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