研究概要 |
顎関節症患者では表面筋電図(EMG)burstの時間的要素,積分電位。周波数などに変化が現われることが明らかにされてきたがなお不明の点も多い。EMGパラメ-タを診断に応用するには,動作に関与する筋活動の(1)tiiming,(2)力の変化分,および方向(velocity)(3)入力信号に対する応答,(4)先行活動の様相,(5)機能分担など多方面からの検索が考えられる。しかも,可級的多数例のデ-タを系統的に分析することが必要なのは個体差のバラツキからみても当然である。以上の観点から,本年度では,(1)平成元年度に購入したTOPOGRAPHy(No.200)による顎機能の正常と異常の画像表示化を試みると共に,操作上必要なプログラムの修正を行った。(2)この条件に沿った顎機能異常者のデ-タの収録を引きつづき行った。(3)集積ずみのデ-タにつき,各種症状(TMJ部の疼痛,雑音,運動障害の3大定型症状のほか,最近の顎関節学会で提唱されているI型〜J型の分類)ごとに群分けし,EMGパラメ-タの定量的分析に着手している。(4)正常と異常の鑑別に別途正常者についてのデ-タの収積と正常値の確立を行った。 なお、顎機能異常者のEMG波形は放電と放電問隔がクリア-カットでないものも多く、デ-タとして必要な波形部分の画像表示を行いうるよう検討し,実用に供するよう修正を行っているが,この点についてはなお検討の必要が残された。 しかし,以上のことを実施し,顎機能異常とくにいわゆる顎関節症についてEMGの種々のパラメ-タのうち診断に有用と思われるものの抽出が明らかとなり,そのコ-ド化への資料と画像表示という実用面での一応の実行が可能となった。ただし,顎関節症については,欠損を伴うケ-ス(欠損の部位と数),心因性ストレスのあるケ-スなども含まれて考えることが必須である,さらに本研究の継続が重要であると考える。
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