研究概要 |
メタクリレ-トモノマ-の各種処理剤で処理した象牙質への接着性と浸透性の関係を明らかにするため,ハロゲンでラベル化したモノマ-を代わりに用いたり,ハロゲン化メタクリレ-トモノマ-を適量添加しトレサ-として用い,X線マイクロアナライザ-(EPMA)分析が可能なボンディング剤を調製した。そして,メタクリレ-トモノマ-の浸透性が推測できるシミュレ-ションシステムを確立するために,象牙質接着界面のハロゲン,CaやPの分布をEPMAより分析し,ハロゲン化モノマ-の象牙質への浸透深さや浸透量を定量的に求めた。また,このシミュレ-ションシステムの信頼性を確認するためにメタクリレ-トモノマ-とそれに対応するハロゲン化メタクリレ-トモノマ-あるいはトレサ-を含むメタクリレ-トモノマ-の接着力,粘度,象牙質へのヌレや接着界面のSEM観察を総合的に比較検討した。その結果、ハロゲン化が接触角,粘度,接着力に与える影響は極めて少ないことが明らかとなった。一方,トレサ-を使用しても同様の結果が得られた。また,トレサ-がボンディング剤と共に処理象牙質表層内の同じ位置まで浸透することがEPMA分析より明かとなった。この様に耐酸性象牙質層の確認や厚さの測定にトレサ-法が極めて有効であることが明らかとなった。そこで,市販光重合ボンディング剤であるPhoto cleanfil,Scotchbond,Restbondにトレサ-を添加してEPMAより耐酸性層の厚さの測定を行った。耐酸性層の厚さはいずれも近似しており,SEM観察から求めた1〜2μmより厚く3〜4μmであった。この様に浸透性には相違が認められなかったが,接着力には相違が認められScotchbondはその他より有意に低くこの3種については浸透性と接着力には相関は認められなかった。
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