研究概要 |
1.ヒト脱灰象牙質基質によるin vitro軟骨形成:(1)Urist らの方法でヒト新鮮抜去歯から脱灰象牙質基質(hーTMG)を作製した。(2)SD 系ラット胎仔より得た大腿筋細片をhーTMG上で培養した。(3)最初未分化な線維芽細胞様細胞がhーTMGに接して増殖し、その部位が後に軟骨組織に置換された。(4)ラット脱灰象牙質基質(rーTMG)でも同様の結果を得た。 2.hーTMG又はrーTMGによるin vivo骨形成:(1)hーTMG又はrーTMGをSD系ラット腹部皮下に移植した。(2)rーTMGを移植されたラットには骨が形成されたが、hーTMGを移植されたラットには骨形成はみられず、リンパ球浸潤と異物巨細胞の出現により吸収された。 3.hーTMGより部分精製した骨形成蛋白(PPBMP)によるin vivo骨形成:(1)hーTMGより4M塩酸グアニジン抽出、ゲル瀘過により分子量約15,000ー40,000の分画を得た(PPBMP)。(2)このPPBMPをウシ・アテロコラ-ゲンと混和したものをSD系ラット皮下に移植すれば骨形成がみられた。(3)PPBMPを多孔質ハイドロキシアパタイト(HA)顆粒と混和したものをラット皮下に移植したが骨形成は見られなかった。 4.結論:ヒト象牙質基質には、ラット象牙質と同様に、未分化間葉系細胞に作用して軟骨芽細胞または骨芽細胞を誘導する物質が含まれており、ウシ、ラットなどの骨に含まれる骨形成蛋白と類似の糖蛋白であることが判明した。このPPBMPをアテロコラ-ゲンなどでHAに結合させて徐放性にすれば、骨形成能を有する人工骨が得られる可能性が示唆された。
|