研究課題/領域番号 |
01571100
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科・放射線系歯学
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研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
大根 光朝 奥羽大学, 歯学部, 教授 (00085870)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1990年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 慢性歯周炎型歯肉癌 / 接合上皮発癌 / 歯肉ポケット発癌 / 歯肉ポケット上皮発癌 / ラット口腟癌モデル / 付着上皮発癌 / ラット歯肉癌 |
研究概要 |
ヒトの歯肉癌は付着上皮に好発するが、歯槽突起内部から癌の発生を見周慢性歯張炎型歯肉癌(扁平上皮癌)が存在する。この慢性歯周炎型歯肉癌は慢性周炎様の症状を呈し、癌は歯槽突起内部から抜歯や切開を契機として歯肉に発現する。この経過中、癌は肉眼的に口腔内に発現しない。したがって、顎骨中心性癌の範疇にも入ると考えられ、その組織発性は従来の見解では残存歯原性上皮や額嚢胞の癌化などが考えられてきた。それに対して、今回、私は慢性歯周炎型歯肉癌は、歯肉内縁部の上皮や歯肉ポケット上皮の発癌によるのではないかという仮定に立って実験的に検索した。 【実験方法】歯肉癌の組織発生は4ーnitroquinolineー1 oxide(4NQO)飲料水投与法によるラット口腔癌モデルを用いておこなった。すなわち、ラット70匹に4NQO水溶液を投与し、30週から75週の間に歯肉癌の発生頻度と発生過程を組織的に検索した。 【結果】1.発生頻度:掲示的に増加を示し、60〜64週の発癌率は80%であった。2.発生過程:歯肉癌は歯肉口腔上皮および接合上皮にほぼ限局して発生した。先ず、歯肉内縁部の接合上皮に基底細胞増殖が起こり、歯根に沿った下方増殖を示し始め、歯肉溝上皮は軽度な角化の亢進を示した。接合上皮は上皮性異形成の亢進とともに上皮内癌となり、さらに歯根膜を破壊しながら顎骨へ浸潤する早期の浸潤癌に至った。その間、歯肉溝上皮の異形成変化は軽度で種々の程度の角化の亢進に留った。顎骨へ浸潤した癌は歯根周囲の潜在癌として存在し、歯はいわゆる浮遊歯の状態を呈した。この状態は慢性歯周炎型歯肉癌の臨床症状を実験的に示唆するものであった。以上から、慢性歯周炎型歯肉癌の発生母地として接合上皮または歯肉ポケット上皮という過程は実験的に証明されたのではないかと考えられた。
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