研究概要 |
顎骨骨折とくに下顎骨骨折に対しては、長年にわたり保存的療法が行われてきたが、近年Champy,AO,Luhr,Steinhauserなどの各種ミニプレ-トが開発され、顎骨骨折に対する治療法は著しい変革を遂げた。しかし、ミニプレ-トによる骨接合法について力学的研究を行ったものは少なく、各種ミニプレ-トの骨片固定力を比較検討した研究は全く見られなかった。そこで現在使用されている各種ミニプレ-トの性質を明らかにするために、Champy,AO,Luhr,Steinhauserの各ミニプレ-トについてXMAによる成分分析を行ったところ、各ミニプレ-トともFe,Cr,Niなどからなり、その重量比も大きな差は認められなかった。ついで2枚のアクリル板を各ミニプレ-トを用いて接合固定した上で荷重を加えた場合の変位量を本学所有のオ-トグラフを用いて調べたところ、AOミニプレ-トが最も大きく変位し、以下Champy,Steinhauser,Luhrの順であった。しかし、この実験ではミニプレ-トを固定する最の手技により結果に差が出る傾向が認められた。そこで可及的同一条件下に比較を行うために、有限要素法による力学解析を行うこととした。各ミニプレ-トの一方端の変位を拘束し他方に荷重を加えた場合、上下方向の変位量はChampyミニプレ-トが最も大きな値を示し、ついでAO,Luhr,Steinhauserの順であった。また最大主応力は各ミニプレ-トともその中央部付近に集中しており、応力値はChampyミニプレ-トが最も大きく、逆にSteinhauserミニプレ-トが最も小さかった。さらにプレ-トの固定位置ならびにスクリュ-の数などを変化させ種々の条件下で一組の骨片を接合固定し荷重を加えた場合の変位量の差を調べたところ、スクリュ-の数と変位量とは必ずしも比例関係にはなく、むしろ可及的上方部でかつ接合部近くでスクリュ-固定を行った方がより良好な結果が得られるようであった。
|