研究課題/領域番号 |
01571114
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児・社会系歯学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高木 裕三 東京医科歯科大学, 歯科部, 助教授 (30124697)
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研究分担者 |
宮新 美智世 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (90229849)
加藤 純二 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (80177451)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1991年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1990年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1989年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 実験病理学 / ラット / 根未完成歯 / 脱臼 / 予後観察 / 予備観察 |
研究概要 |
幼若永久歯の脱臼は小児の口腔外傷の中でも比較的高頻度に観察されるものである。脱臼した幼若永久歯は受傷後数カ月から数年にわたる長期間のうちに歯髄壊死や歯髄腔狭窄、歯根吸収などを合併することが臨床的に報告されている。ところが、こういった合併症の発生過程についての病理組織学的解明は殆どされていない。また、治療法として行われている固定と長期的な予後との関連も不明である。こういった点を解明するためには動物の歯にほぼ均等な脱臼状態を作ることのできる実験系の開発と、それを用いた実験病理学的研究を行うことが望まれる。 我々はこれまでにラット上顎臼歯に歯や歯槽骨の破折を伴わない範囲で最も強い脱臼状態を均一に作れる実験系を開発した。そこで、本研究ではこの実験系を応用し、脱臼した幼若永久歯の経時的な病理組織学的変化を検索した。受傷直後では臼歯の圧迫側歯根膜に線維の走行の乱れや細胞の変性、出血が、また牽引側歯根膜では線維の断裂や出血が認められた。術後12時間経過すると圧迫側歯根膜に無細胞域が出現し、5日頃から歯根表面に吸収像が観察されるようになった。歯根膜と歯槽骨の損傷は時間と共に修復され、術後2週間でほぼ完全に治癒した。ところが、歯根表面の吸収は長軸方向に拡大し、特に圧迫側歯頚部では56日後もなお継続していた。歯髄は一般に受傷直後でもほとんど障害が認められないが、7日以後になると一部の歯で天蓋部に不規則象牙質が出現した。しかし、これらの変化も実験後半では観察されなくなった。 本研究の結果、幼若永久歯の脱臼ではたとえ軽度のものであっても圧迫側では歯槽骨吸収や歯根吸収が発生し、特に後者は長期に持続することが明らかになった。また、歯髄への障害も有り得る事が示唆された。これらの事から、脱臼した幼若永久歯については長期にわたる予後観察の必要性が考えられた。
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