研究概要 |
電極反応は、無公害プロセスとして重要な反応である。申請老は、これまで、電極反応を有機合成に取り入れるべく検討し比較的複雑な系にこれを利用できる事を示してきた。特に非コルベ型の反応を利用し、単環性βーラクタムの4位にアセトキイ基を導入する方法を確立し、光学活性なチエナマイシンを合成するうえで重要な中間体である4ーアセトキシー3ーハイドロキシエチルー2ーアゼチヂノンや、(+)ーPSー5の合成に成功した。そこで本反応をrーラクタムの合成に応用すべく研究を開始した。ビログルタミン酸(1a)をAcoNaを支持電解質としてAcOHーCH_3CN中で陽極酸化を行ったところ高収率で2ーアセトキシビロリドン(2a)が得られた。本化合物は不安定であるが、単離することが出来2位に種々の官能基を導入するうえで極めて重要な化合物である。次に窒素上の置換基にアルコ-ルを持つ1b,1cを合成し同様に陽極酸化を行っなったところ2b,2cが得られた。これらはrーラクタムを持つオキサセフアム、オキサペナム骨格に相当する化合物であり、極めて興味が持たれる。本反応は、酢酸中であるにも拘わらず極めて高い収率で窒素のαの位のカルボン酸が脱炭酸を受ける。そこで、3を合成し2.0F/mol通電したところ75%の収率で4が得られた。恐らく本陽極酸化はそれぞれの酸の共役塩基の濃度に異存して進行するため、窒素のαー位のカルボキシレ-トの1電子の引き抜きが早いものと思われる。次に窒素のαー位にカルバニオンを導入することが試みた。5に対して陽極酸化を行なったところ良い収率で6が得られた。6をTiCl_4で処理したところインドリチジン7が得られた。このように窒素のαー位に様々な官能基を導入するためには、陽極酸化は非常に効果的であり、rーラクタム誘導体を合成する道をひらく事が出来た。本反応を用いることにより種々のrーラクタム誘導体を合成するための道をひらくことが出来た。
|