研究概要 |
アリルシラン1より出発し,Sharpless不斉エポキシ化,Lewis酸触媒下の酸化反応,アセトニド化,オゾノリシスに続く塩基触媒下のエピメリ化といった4段階操作で置換シクロペンタン化合物2をエナンチオ選択的に合成する方法を考察し,その一般性および合成化学的有用性について検討した.その結果,まず一般性に関しては,1にあらかじめ存在する置換基R^1,R^2の位置,立体化学に関係なく,いずれの場合も高い光学純度(>90%ee)で置換シクロペンタン化合物が得られ,本置換シクロペンタン構築法が幅広い一般性を持ったキラル合成法となり得ることがわかった.また,その合成化学的有用性に関しては,13員環マクロリド構造を持ち,抗ウィルス活性や抗腫瘍活性など多様な生物活性を示すことから合成化学的にも薬理学的にも興味が持たれるブレフェルヂン類抗生物質の合成によって示した.すなわち,上述の方法で合成した2(R^1=H,R^2=OBnあるいはR^1=R^2=H)より側鎖伸長,マクロラクトン化を行うことにより,(+)ーブレフェルヂンA(3)ならびに(+)ーブレフェルヂンC(4)のエナンチオ制御合成を達成し,ブレフェルヂン類抗生物質の新規キラル合成ル-トを開発することが出来た.
|