研究概要 |
代表的な胆汁酸であるコ-ル酸はコレステロ-ルから生合成されるが、その中、βー酸化類似機構による炭素一炭素結合切断反応の重要な中間体は3,7,12,24ーテトラヒドロキシコプロスタン酸である。このものをインキュベ-ション生成物から収率よく抽出・精製しトリメチルシリルエ-テルメチルエステルとしてガスクロマトグラフ分析を行う手法を確立した。また4種の立体異性体を分離定量するためにはpーブロモフェナシルエステルとし高速液体クロマトグラフを行う必要があるが、使用する溶媒及び試薬を極微量にすることによって夾雑物に妨害されることなく確実に分析できるようになった。一方これまで唯一、化学的合成が達成されていなかった中間体である3,7,12ートリヒドロキシー24ーオキソコプロスタン酸をメチルマロン酸半エステルのマグネシュウム塩とコ-ル酸誘導体のイミダゾリドとの反応を経て好収率で合成できるようになり、インキュベ-ション実験の準備が整った。 また3,7,12ートリヒドロキシー24ーコプロステン酸のアレンおよびアセチレン同族体の合成も前年度迄に異性体の混合物として得ることに成功していたが、高速分取液体クロマトグラフを使うことにより2種のアレン立体異性体(BおよびC)をアセチレン体(A)より分離することができた。ここに得られたA,B,Cをラット肝ミトコンドリアとインキュベ-ションしたところ予期に反しBは好収率でコ-ル酸へ変換された。ついで本来の基質である3,7,12ートリヒドロキシコプロスタン酸のインキュベ-ション混液にCを共存させたが、Cはコ-ル酸変換反応に対する阻害効果を示さなかった。
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