研究課題/領域番号 |
01571197
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
瀧 孝雄 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (10046295)
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研究分担者 |
飯田 静夫 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00009987)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | モノクロ-ナル抗体 / 胎児性糖鎖抗原 / ガングリオシド / 糖脂質 / 肝癌 |
研究概要 |
胎児性糖鎖抗原を検出する目的で胎便より得たガングリオシドをマウスに免疫し、モノクロ-ナル抗体を作製した。得られた抗体の中から、胎便のガングリオシドに反応性が良く、特異性の高いMSG-15を選び、以後の実験に用いた。胎便のモノシアロガングリオシド画分からMSG-15と反応する成分を精製し、500MHzNMR、エキソグリコシダ-ゼによる分解、モノクロ-ナル抗体を用いた解析、およびメチル化糖のガスクロマト-質量分析法等を用いて構造研究を行った。その結果、MSG-15が反応する糖脂質はNeuAcα2-6Galβ1-3Galβ1-34GlcNAcβ1-4Glcβ1-1Cer(S2-6PG)であった。またその他のガンブリオシドを用いた実験からMDG-15が認認する構造はNeuAcα2-6Galβであることが明らかとなった。 次に、MSG-15を用いて、ヒト肝癌組織中のNeuAcα2-6Galβ構造をもつ糖脂質の検出を行った。用いた9検体のすべてにMSG-15と反応する糖脂質が検出された。その成分の割合はモノシアロガングリオシド画分の13ー50%にまで達していた。しかし、健常人の肝や肝硬変組織中にはMSG-15と反応する成分はほとんど検出されないかあるいは検出されても1%以下であった。また、肝癌組織中に検出されるMSG-15と反応する物質はS2-6PGの他にさらに二種類の成分が認められた。これらの成分は胎便中のMSG-15と反応するS2-6PG以外の成分と薄属クロマトプレ-ト上同一の挙動を示し、シアリダ-ゼ処理後の化学的性質も一致していることから、これらは同じ糖鎖構造をもつものと思われる。現在、これらの糖脂質を分析中であるが、正常組織にはこれまで報告されていない新しい糖鎖構造をもつことが明らかとなってきた。 以上の結果より、NeuAcα2-6Galβは一種の胎児性糖鎖抗原であること、肝癌細胞で再び出現する癌関連抗原であることが明らかとなった。肝癌ではNeuAcα2-6Galを合成する糖転位酵素活性が上昇すると思われる。
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