研究概要 |
1.平成1年度において、既に報告した様にHdのC末端を順次欠いたHd(1ー33)ーNH_2,Hd(1ー31)ーNH_2,Hd(1ー30)ーNH_2およびHd(1ー28)ーNH_2を液相法により合成し、合成品の犬大腿動脈血流増加の検討結果ならびに合成ペプチドおよびHd,VIPの二次構造解析結果よりHdがその特微とする持続的血流増加作用を発現するためには31位Thr残基よりC端部ペプチド配列および分子C端部のβータ-ン構造が必須であることを明らかにした。さらにVIPのN端部構造とHdのC端部構造を合わせ持つVIP(1ー11)ーHd(12ー31)ーNH_2,VIP(1ー11)ーHd(15ー31)ーNH_2および[Gly^5]ーVIP(1ー11)ーHd(12ー31)ーNH_2の新たなHd関連ペプチドを合成し、その血流増加作用を検討した。その結果、いずれも作用はHdの1/5以下であったがVIPとは相加的に作用し、一方Hdとは拮抗的に作用することが明らかとなり犬大腿動脈血流増加作用発現にはVIPとHdが互いに異なる受容体を介して作用していることを示す知見を得た。 2.平成2年度においては当初の計画に従い、(1)哺乳動物組織内免疫活性Hdの分布を検討した。組織内Hd様免疫活性成分の分布の検討いは先に確立した。Hd(7ー35)特異ラジオイムノアッセイ(RIA)系を用い、ブタ脳および消化管組織抽出物中の免疫活性を測定した。その結果、測定した全ての組織に免疫活性が検出され、脳では特に視床下部、延髄、小脳に、また消化管では小腸、回腸および結腸で特に高値であった。(2)ついで、以上の結果に基づき、まずブタ小腸抽出物中のHd様物質の単離を目指し、その存在様式の検討を行った。その結果、ブタ小腸の1.0M酢酸抽出物をSephadex Gー50Superfineカラムによるゲル濾過画分中Hd様免疫活性はVoからVtに広く溶出され、Hdが多様な分子型で存在することを明らかにした。同時にデルタパックC_<13>カラムを用いる逆相HPLCにより0.01N HCl中のアセトニトリル濃度を30%および60%の段階的溶出法で溶出した結果、Hd様免疫活性の約60%がアセトニトリル30%画分に溶出され、この画分の分析用逆相HPLCにおける溶出液中のHd様免疫活性として主要な2成分が検出された。この結果、ブタ腸組織中のHd様免疫活性成分は多様な分子型であるが、0.01N HCl/CH CN 系溶出溶媒を用いる逆相HPLCにより主要成分が分離されHd様成分の単離が可能であることを示した。
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