研究課題/領域番号 |
01571242
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医学一般
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研究機関 | 愛媛県立医療技術短期大学 |
研究代表者 |
岡田 真理子 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助教授 (60111118)
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研究分担者 |
富永 彬生 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助教授 (90036450)
佐川 輝高 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助手 (90162320)
伊藤 晃 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助手 (30203128)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1991年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1990年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1989年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 血小板 / 細胞傷害反応 / 溶血反応 / 腫瘍細胞 / プロテア-ゼインヒビタ- / 腫瘍細胞瘍害反応 / トロンビン活性化 / 透過型電顕 / 免疫電顕 / GMPー140 / 血小板依存性細胞傷害反応 / 腫瘍細胞株 / 自己赤血球溶血反応 / cAMP / シクロオキシゲナ-ゼ阻害剤 / 電子顕微鏡観察 / 活性化血小板 / 赤血球形態変化 / ガン細胞傷害反応 / エステラ-ゼ |
研究概要 |
1)ヒト血小板は種々のアゴニストにより活性化されると自己赤血球に対する溶血活性を示した。活性化血小板自身は溶解しなかった。活性化血小板により傷害を受けた赤血球は表面上にブレッブを形成した後、分断化され、球状赤血球へと形態変化を起こした。活性化血小板の溶血活性はATPに依存し、血小板内cAMPにより制御された。メンブレンで赤血球と血小板の直接接触を妨げると活血活性は減少したが完全には消失しなかった。活性化に伴い顆粒から放出される物質には溶血活性はなく、活性化により顆粒内の物質を殆ど完全に放出した後の血小板本体に溶血活性が保持されていた。これらの実験結果から、活性化血小板の溶血活性は活性化血小板により持続的に産生されて遊離してくる物質で、しかも低分子量の失活しやすい物質により担われていることが示唆された。この研究は、血漿成分の非存在下で活性化血小板が直接赤血球を傷害することを示した始めての報告である。 2)一方、アゴニストで処理していない静止血小板に慢性骨髄性白血病細胞株Kー562細胞に対する細胞傷害活性があることが明らかとなった。この活性は抗体および血清成分に非依存的であった。ある種のプロテア-ゼ阻害剤により細胞傷害活性は抑制された。血小板によるKー562細胞傷害反応を透過型電顕で観察すると、血小板と標的Kー562細胞との結合、標的細胞の細胞質、核、ミトコンドリアに顕著な壊死性変性が認められた。トロンビンで活性化した血小板にも静止血小板と同程度のKー562細胞傷害活性が認められたが、この活性はプロテア-ゼ阻害剤による抑制を受けなかった。おそらく標的Kー562細胞がもつなんらかのプロテア-ゼにより、Kー562細胞に結合した血小板が活性化され、細胞傷害性を発揮するのではないかと推察された。種々の腫瘍細胞株の血小板感受性を調べたところ、感受性株と非感受性株があった。この結果より、血小板の細胞傷害作用は標的依存性であることがわかった。この研究は血小板が腫瘍に対する生体防御機構においてなんらかの役割をはたしていることを示唆するもので、血小板の新たな側面をあきらかにするものである。 3)今後の課題としては、血小板の溶血因子と細胞傷害因子の同定、腫瘍細胞上の血小板を活性化するプロテア-ゼの同定、標的特異性の検討、血小板感受性、非感受性を決める因子の検討などがあげられる。
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