研究概要 |
日本人の筋緊張性ジストロフィ-症(以下DM)家系を解析し、第19染色体上の多型性DNAマ-カ-D19S19,APOC2と日本人DM座位との間で、ロッド値それぞれ3.36,2.22を得た。この結果より、日本人のDM遺伝子も第19染色体長腕に位置し、日本人と白人との間のDM遺伝子座位に関して遺伝的異質性のないことが証明された。また、日本人のDM家系内で遺伝子診断が可能であることを示した。DM遺伝子は第19染色体長腕のCKMM及びERCC1と多型性DNAマ-カ-D19S22との間の19q13.2存在することが知られている。パルス電場ゲル電気泳動の技術を修得し、CKMMとERCC1をNotI切断後の同一の370kbDNA断片の中にとらえる事ができ、さらに周辺のrare cutter enzymeによる制限酵素地図を作成できた。DM遺伝子がCG islandにあると考え、ヒト第19染色体のNotI リンキングライブラリ-を作成した。そして、5個のクロ-ンについて、雑種細胞を用いて染色体上の座位を決定(2クロ-ンは短腕、3クロ-ンは長腕)すると共に、連鎖地図作成のためにRFLPsの検討をした。3個のクロ-ンについてはRFLPsを見い出した。DMに最も隣接するERCC2について、非RIビオチン標識を行い、in situ ハイブリダイゼ-ションを行った。FITCーアビジンのシグナルを共焦点レ-ザ-走査蛍光顕微鏡で31個の染色体を観察した結果、ERCC2は第19染色体の長腕末端から短腕末端までの距離の76%の位置に存在していた。アルゴンレ-ザ-を用いて第19染色体長腕の動原体より末端側の50ー80%の領域を残して、残りの第19染色体を焼き切った。残った遺伝子断片を回収し、Alu配列の中でヒトだけに保存されているTCー65をプライマ-としてPCRを用いて増幅した。PCR産物が第19染色体由来であることは、in situ ハイブリダイゼショ-ンで確かめられた。
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