薬物の種々の組織中での非結合型(遊離型)濃度の定量法の確立のためにin vitroおよびin vivoにおける実験を行なった。灌流チュ-ブとして、amicon社のミニヴィタファイバ-を用い、実体顕微鏡(Nikon SMZ2B)下においてエポキシ系接着剤にて灌流領域以外を接着固定した。これを工作用ドリル(MINITORおよび電源ユニット)を用いてポリ液体シンチレ-ションカウントバイアル内部に装着し、in vitroの回収率試験用装置を作成した。この装置中にはリンゲル液を満たし、液中にはバルブロ酸を一定濃度に調整して微小灌流ポンプ(Carnegie Medicin社)を用い、リンゲル液を灌流液として2ul/minの流速で灌流を行い、回収率を求めた。また、in vivoの実験としては、雄Sprague-Dawleyラットを用い、バルプロ酸の一定量を腹腔内または経口投与により連日投与し、ヒトにおける有効血中濃度(50-100ug/ml)に達するまで投与を行なった。その後、ラットを麻酔し、定位脳固定装置(Narishige SR-6)に外耳道を固定し、ラットの脳図譜に従い、尾状核中に灌流チュ-ブを水平に挿入固定した。また、灌流チュ-ブはラット肝臓および血管内にも装着され、その後、2ul/minの速度により、ラット脳、肝臓および血管内を微小灌流し、灌流液中のバルプロ酸の濃度を蛍光偏光免疫測定法(TDx)により測定した。測定値はin vitroの回収率により、補正された。以上、当該年度の課題である、in vivoにおける遊離型薬物濃度測定法の確立の目的は充分に達成されたものと思われる。
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