研究概要 |
赤血球中に存在する細胞内プロテア-ゼinsulin degrading enzyme(IDE)の分離精製とその生化学的性質について検討した。 1.IDEの分離精製法 IDEは、他の細胞内プロテア-ゼと同様に不安定で失活しやすい性質を示した。そこで短時間に効率よく分離する手段として、イオン交換クロマトグラフィ-(DEAE Sepharose),ゲル濾過(Superdex 200 pg),クロクトフォ-カシング(Mono P)による3段階クロマト分離法を考案した。得られたIDEは、polyacrylamide gel electrophoresis(PAGE)上単一バンドまで精製することが可能となったが、クロマトフォ-カシングの酸性条件下においてIDEが分解を受けることが判明したため、最終段階の分離をより緩和な条件のヒドロキシアパタイトに変更した。これによりIDEは、活性を保持した状態で単離可能となった。 2.生化学的性質 精製されたIDEは、SDSーPAGEにより分子量107K、等電点約5.0であった。IDE活性の至適pHは、HEPES緩衝液、リン酸緩衝液のいずれにおいてもpH7.2で最大活性を示した。またIDE活性は、EDTAにより活性阻害を受け、2価の金属塩類(1mM程度のCa,Mg塩)により活性化される性質を示した。これらの結果より、IDE活性の至適条件は、20mM HEPES pH7.2,0.5mM CaCl_2であった。この至適条件下、基質としてhuman monocomponent insulinを用いたIDE活性測定法は、CV5%と良好な再現性を示した。
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