研究概要 |
本研究では、プラズマの回転に関する様々な問題の中で,特に外部モ-メンタム源のあるト-ラス・プラズマの回転の生成機構とプラズマ輸送との関係を明らかにする事を目的として,(i)逆磁場配位(FRC)プラズマの回転機構,(ii)中性粒子入射ビ-ムによるヘリカル系プラズマ中のビ-ム駆動電流,(iii)ヘリカル系プラズマのトロイダル電流と回転に対する新古典論的定式化,(iv)高速イオン存在下でのヘリカル系プラズマの径電界決定,の4つの課題に取り組んだ。得られた成果は概略次のとおりである。(1)FRCプラズマの回転を決定する式を導出し、回転機構,特に回転と輸送の関係を明らかにした。(2)ヘリカル系(非軸対称系)における新古典的電流(ブ-トストラップ電流,ビ-ム駆動電流,電気伝導度),及びプラズマの回転(流れ,径電界)の定式化を行ない,トカマクの場合と比較した。定式化は1/u,プラトウ,PーS領域で行ない,全領域で,新古典電流とプラズマ回転は形状因子〈G〓〓〉に比例する形で表現できる事が判った。その結果,(3)ビ-ム駆動電流と電気伝導度はヘリカル系とトカマクで同じ表示であるが,ブ-トストラップ電流とプラズマ回転は配位に強く依存する事が判った。(4)プラズマ回転(径電界)を決める式を,粒子損失,荷電交換,モ-メンタム源のある場合に拡張した。この拡張は平成元年度にはモデル場に対して,平成2年度は一般的な任意の配位に対して行なった。(5)ヘリカル系プラズマでのICRF少数イオン加熱を模擬する軌道/モンテ・カルロ・コ-ドを開発し,これを使って損失高速イオンの粒子束を計算し,また周時に輸送コ-ド,及び回転(経電界)を決定する式を用いて,高速イオン損失のある時の径電界を無矛盾的に決定する数値計算を行なった。 上記で得られた回転方程式をポロイダル・マッハ数が大きい場合へ拡張し,ヘリカル系でのHモ-ド実現の可能性を今後研究していきたい。
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