研究概要 |
波動による磁気ヘリシティ入射とそれに伴う電流駆動の機構について,理論的解析および数値的解析を行った。 1.まず具体的なトカマク配位におけるイオンサイクロトロン波の伝播を解くことによって,波による磁気ヘリシティ入射の定量解析を行った。その結果,磁気ヘリシティ束および吸収ヘリシティの空間分布が初めて求められ,駆動電流分布との比較ができるようになった。 2.次に磁気ヘリシティ入射による電流駆動を,波がプラズマに及ぼす平均力の観点から検討を行った。平均力には,波一粒子共鳴相互作用に伴う共鳴力とポンデロモ-ティブ力に代表される非共鳴力がある。通常のポンデロモ-ティブ力は保存力であるため,磁気面平均を行うと消えてしまうが,磁化プラズマ中では振幅勾配の方向と力の方向が異なる力が存在し,その力による電流駆動が磁気ヘリシティ入射を含むことが明らかになった。この力は電子とイオンに対してほぼ逆向きに働き,波からの運動量吸収なしに電流を駆動できる。 3.さらにイオンサイクロトロン波の伝播を解いてこの力を計算し,駆動電流分布および波動ヘリシティから直流的ヘリシティの変換率を求めた。そして非共鳴的力による電流駆動効率のプラズマパラメ-タ依存性を調べ,強い温度依存性および磁界強度依存性をもつことを確かめた。 4.一方,電流駆動によって維持される電流の空間分布を調べるため,電流輸送機構の解析を行った。電流駆動によって生成された高速電子の空間輸送を調べるため,速度空間2次元,実空間1次元のフォッカ-プランク方程式を解く数値解析コ-ドを新たに作成し,電子サイクロトロン波による電流駆動時の電子速度分布の径方向分布およびその時間発展を求めた。
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