研究概要 |
意味処理の技術の壁を突破するためには,「段階的詳細化」という観点を明快に追及しなければならない.「段階的詳細化」とは,自然言語文の理解の過程を「逐次的に情報を受れ入れ,それを統合して段階的に認識(各単語や文の意味表現)を限定し,詳細化して行く過程」と見なすことである.逐次的に受けとる情報は,認識への制約条件に他ならない.したがって段階的詳細化を可能とする鍵は,制約の適切な扱いにある.本研究では,プログラム言語PALの制約付き変数の能力をいかしながら,自然言語処理実験システムTALKにおける意味処理技術を改善し,段階的詳細化を効単的に達成するための知見を蓄積した. 具体的には,以下の諸点を研究した. (1)名詞句+の+名詞句,名詞句+は+名詞句+だ,などの意味処理の分析を進めた. (2)上記の処理を高速めるための知識コンパイル方式を提案した. (3)述部の解析を高速化するための,接続知識のコンパイル方式を整備した. (4)論理的な黒板を利用した照応理解の枠組みの基礎的な部分を構築した. (5)制約直き変数が制約の一貫管理に貢献することを示した. (6)制約付変数に基づく統一的意味表現体系を提案した. (7)制約付変数を用いた新しい意味解釈過程の枠組みを提案した. 以上の研究により,段階的詳細化の観点からみた自然言語処理の基礎が構築された.
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