研究概要 |
糖ータンパク質由来の蛍光性縮合物(Advanced glycosylation end product:AGEs)が高齢者の腱コラ-ゲンやレンズタンパク質,糖尿病患者の組織中に有意に蓄積していることに着目し,世界的に飲用されている茶葉(日本緑茶,中国茶,紅茶,ウ-ロン茶)を用いてAGEs生成に対する抑制効果を検定した。また,茶葉中の活性成分の分離同定とともに抑制メカニズムを検討した。 Dーグルコ-スとヒト血清アルブミン(HSA),またはDーグルコ-スとカゼイン(CAS)を生理食塩水(ph7.4)に溶解したのち,各種茶葉抽出物,あるいは(-)エピガロカテキンガレ-ト(EGCg)の一定量を添加し,37^0Cで1ー4ケ月間反応させた。またMaiilard反応の重要な中間体である3ーデオキシ-Dーグルコソン(3DG)や5ーヒドロキシメチルー2ーフルアルデヒド(5HMF)を合成し,同様にHSAあるいはCAS,茶葉抽出物を添加して反応させた。経時的に反応液を取り出し,蛍光強度(Ex 370nm,Em 440nm)とSDSポリアクリルアミドゲルによる挙動を調べた。 その結果,いずれの茶葉抽出物およびEGCgもDーグルコ-スとHSAあるいはCASの反応系におけるAGEsの生成を10ー60%抑制した。しかし,3DGあるいはHMFと両タンパク質との反応系においては,茶葉抽出物によるAGEsに対する抑制効果は低い(5ー15%)ものであった。電気泳動的挙動からもこの阻害効果が裏ずけられた。 以上の結果はEGCgをはじめタンニン類を含有する茶葉成分が糖ータンパク質縮合反応の主として初期に抗酸化的,ラジカル的に作用して蛍光物質の生成を抑制しているものと推定した。
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