研究概要 |
本研究においては以下の研究成果が得られた。 1.ポリエステル織物のアクリル酸グラフトによる表面改質の結果、水の浸透ぬれ速度は急激に増大し、表面親水化が示された。 2.接触角測定を基としてアクリル酸グラフトポリエステルフィルムの表面自由エネルギ-を調べた結果、表面自由エネルギ-のうち分散力成分は変化せず極性力成分が増大する事が分かった。 3.全反射赤外分光、ESCA測定による表面分析による表面COOH基の定量化から、表面自由エネルギ-を分光学の結果を元に定量的に算出する事ができる事を明らかにした。 4.ポリエステルやナイロンの含フッ化アルキルブックポリマ-による表面疎水化改質についても表面自由エネルギ-変化を調べ、ESCAによるFL_Sピ-クの相対強度を元に表面自由エネルギ-を算出できる事を明らかにした。 5.表面改質したポリエステル織物について、スクアラン,トリオレイン,オレイン酸の3種の極性の異なるモデル油性汚を用いた洗浄実験を行い、表面改質が洗浄性に及ぼす影響について検討した。 6.油性汚れの極性に関わらず、表面親水化により洗浄性は向上し、表面疎水化は洗浄性の低下をもたらす事が分かった。 7.洗浄仕事(エネルギ-論)の立場から解析したところ、表面改質の洗浄性への影響は、特に、表面自由エネルギ-の極性力成分の変化が重要であることが明らかにされた。 以上、織物の改質により表面自由エネルギ-を制御する際には、洗浄性への影響を考慮すると、極性力成分の制御が特に重要である。
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