研究概要 |
多糖類の寒天、k-カラギ-ナン、ワキシ-コ-ンスタ-チ、カ-ドランとタンパク質の卵アルブミンおよびゼラチンを用い、基質濃度1-30%の範囲でゲルを調製し、10および30℃においてパルスNMR(ブルッカ-社ミニスペックPC120)を用いて緩和時間T_1,T_2を測定し、これから強固な結合水量を求めた。 試料の含水量が増すにつれて結合水量は増加し、場合によってはその後ほぼ一定値に達したがカ-ドランとワキシ-コ-ンスタ-チは測定範囲内で結合水量はほとんど一定であった。強固な結合水量(gH_2O/g乾燥物)は寒天で最も多く0.6-1.0であり、以下、カ-ドラン0.10-0.18,卵アルブミン0.07-0.18,k-カラギ-ナン0.06-0.28,ゼラチン0.02-0.16,ワキシ-コ-ンスタ-チ0.03-0.07であり、特に多糖類とタンパク質との相違は認められなかった。 結合水量はカ-ドランのゲルを除き、いずれも10℃における方が30℃におけるよりも多く、これらにおける結合水の形成は発熱反応で、見かけのエンタルピ-の減少はゼラチン35-52,ワキシ-コ-ンスタ-チ18-23,k-カラギ-ナン0-28,卵アルブミン5-7,寒天1-9KJ/moleであったが、カ-ドランのみはエンタルピ-の増加が約10-16KJ/moleの吸熱反応で、カ-ドランのみは結合水形成の機構が異なることが示唆された。ゼラチンは30℃での結合水量の減少が著しく、ゲルの融解と関係のあることが推定された。 ゲル中の結合水量はゲル調製後数日でほぼ一定量に達したが、ワキシ-コ-ンスタ-チゲルのみは増加を続け、1週間後にも平衡に達せず、老化の進行と関連するものと考えられた。
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