研究概要 |
自動制御技術史の研究上の文献をサ-ベイし、これらの研究と,制御の理論的な課題とくに「動力ー制御」矛盾をとく「内的発達論との関連が明確に分析されていないことを,まず明らかにした。その為、本研究では、内的発達論の理論的基礎をなす「作業機の機構」と制御の構造を,歴史的に解析しながら対応させ、内的発達論が、制御理論にはなりえないことをつきとめた。この点は、制御技術の近代的出発となる製粉機の制御を分析することで明らかにした。 つぎに、制御理論の理論的解析の第一歩となったマクスウェルやラウスの研究の基礎になったガバナ-の技術論的意義が、いわゆる「作業動作」過程での,即ち「制御ー動力」的に把握された「制御」にあるのではないことを解明した。自動制御の理論と技術の展開は、ワットのガバナ-以後原動機の制御方法が、無数に考案される。その中で、機構学的な発想と結びついての、動作の安定性の解明が制御工学理論の土台を形成することになった。この過程では、チュ-リヒ工科学のシュトドラやフルヴィツ、そしてヴィシネグラスキ-の貢献が、基本問題を解決させた点で特に重要であった。 また制御は、必ずしも「作業機」における制御の部分にだけ問題となるのではなく,むしろ原動機や伝達機構,あるいは機構運動の安定性に関連する技術であることは、制御技術の技術的意義を明確にさせることができる側面である。歴史的にも種の制御技術が、考案された。この点は、逆にオ-トメ-ションにおける制御の意味を明らかにするといえよう。シ-ケンス制御の発達とフィ-ドバック制御の発達の相互関係が機構的な連関で解析することにより,内的発達法則論の妥当しないことが明らかとなった。
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