研究概要 |
高齢者の余暇における身体活動を規定する要因を明らかにするため、高知、山梨、秋田県の60歳以上1170名の調査結果の単純集計、クロス集計結果と林の数量化II類による分析を行った。独立変数を高齢者の身体活動としそれを弁別していると考えられる1.体力・生活満足度2.余暇活動尺度3.余暇是認度4.性別5.年間所得6.学歴の6つを説明変数とし分析した結果、カテゴリ-グラフ及びレンジ表等から、主に次の点が明かとなった。 1、過去1年間にスポ-ツ活動を実施した者の割合は、男性63%、女性42%であった。スポ-ツ実施者、非実施者と体力・健康・生活満足度尺度(A)とのクロス集計では、スポ-ツ実施者でAの得点の高い者の割合は、30%であったが、スポ-ツの非実施者では、21%と少なく、逆に、Aの得点の低い者の割合は、実施者では、7%しかなかったが、非実施者では、17%と多くなっている。(P=0.01,X^2=42.93,D.F=4)このことから、体力・健康・生活満足度が強い要因として、働いている。(カテゴリ-・スコア-=0.265) 2、余暇活動尺度(同0.244)が高い者ほど身体活動をやる度合いも高い。 3、性差による違いがある。(同0.2196) 4、高齢者の身体活動としてゲ-トボ-ルが多く(実施者の63%)他の運動種目は、少なかった。高齢者の豊かな身体活動のためには、幼少期からの多様なスポ-ツ種目の奨励やそれを行うための体力・健康の維持や運動への心がけが必要と考える。さらに、高齢者の活発な身体活動への参与は、余暇活動全体の充実が重要である。さらに余暇活動尺度(余暇活発生度)に影響していると考えられる12の因子についてのカテゴリ-・スカア-の順位、上位5因子は次ぎのようになった。 1.現在の生活満足度2.50歳台の職業3.学歴4.余暇是認尺度5.1年間のスポ-ツ経験(判別的中率=68.3%、相関比=0.4038) 身体活動、余暇活動の両方に共通している因子として、生活満足度があげられることから、高齢者の余暇は、日常生活の経済的、社会的ゆとりが必須条件であることが裏付けられた。
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