研究概要 |
本研究では一卵双生児(MZ)及び二卵双生児(DZ)を対象とし、身体特性や各種動作様式を縦断的に測定・調査することにより、個々の発育発達の経過や特徴を明らかにしようとした。追跡研究対象組としてMZ8組、DZ2組の4〜8年間の対差百分率(ID)・Motor Patternを縦断的に検討を加えた。30m走、オ-バ-ハンドスロ-および25m泳動作はNAC HSV400を用いて撮影し、解析はNAC 200システムによって行なった。 結果は以下の通りであった。 長育のIDは、MZが0〜3%、DZが0〜6%と非常に小さな範囲の変動であった。量育のIDはMZが0〜17%、DZが3〜30%と長育より大きな値で変動した。機能におけるMZ,DZのIDは0〜85%と大きな範囲で変動した。性格面についてのアンケ-ト調査結果からは、物事に熱中する度合や勇気、自信などについてはMZ,DZともに顕著な差がみられ、その他の項目についてはDZがMZより不一致の項目が多少多くみられる程度であった。走動作パタ-ンは、DZを除いて2児間ではかなり類似したパタ-ンであり、走動作様式は急激なからだの変化がない限り大きな変化はみられなかった。MZ,DZの女子の投動作パタ-ンはともに未熟なパタ-ンのレベルにとどまっており、双方とも発育に伴う初速度の伸びはみられなかった。MZ26の25m泳タイムが2児ともに9〜10歳にかけて大きく短縮した。これは双方ともこの年に行なわれた水泳教室を5日間うけたことにより泳能力が向上したと考えられる。すなわち、水泳のパフォ-マンスは適切な働きかけが個々になされることによって向上していくと考えられた。 結論:(1)長育は比較的変わりにくいが、量育や全身持久性能力などは日常生活における運動量に左右されやすい。(2)走る動作に比べ、投げる動作や泳ぐ動作は個々の学習経験量や外的な働きかけによってできばえが左右される。
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