研究概要 |
1.ヒト由来神経芽腫瘍細胞(GOTO)におけるectoー型のガングリオシド依存性タンパクリン酸化の解析 (1)Kー252bを用いた解析: 細胞膜を通過出来ない新しい阻害剤Kー252bを用いて、以前報告したリン酸化が本当にectoー型か否か再検討を行なった。その結果、分子量6.4,6.0,5.4万の三種類のタンパク質のガングリオシドGQlb依存性のリン酸化はまさしくectoー型であることを確認した。 (2)ectoー型タンパクリン酸化活性とガングリオシドによる神経突起伸展作用との関連の解析:Kー252bをはじめとして、このリン酸化を阻害する化合物群は何れもGQlbによる神経突起伸展作用を阻害した。従って、ectoー型タンパクリン酸化活性とガングリオシドによる神経突起伸展作用との間には何等かの関係があるものと考えられる。また、GQlbの作用が見られる細胞は、細胞自身GQlbを発現していないことが免疫化学的に明らかとなった。 2.ラット脳の膜画分におけるガングリオシド依存性タンパクリン酸化酵素の精成ならびに構造と機能の解析 GOTO細胞の形質膜画分を調製し、その画分中のタンパクリン酸化活性を調べると細胞表層で見られるectoー型の酵素活性と同等と考えられる活性をある程度再現出来るが、GQlb依存性は見られなくなってしまう。これは、in vitro活性測定法が未だ十分には確立されていないためと考えられる。今後、さらに検討が必要である。 ラット脳の膜画分にも10^-^8濃度のガングリオシドGQlbによりリン酸化が昂進なる基質が、SDSーPAGEで見る限り、少なくとも二つ存在する事が明らかとなった。そのうちの分子量72KDaの基質をADSーPAGEで見る限りほぼ単一なスポットを与えるまで精製することができた。今後、その部分一次構造の解析を行ない、それをもとに基質タンパク質72KDaのクロ-ニングを行なう予定である。今後、この基質を大量に調製し、それを用いて酵素側の検討を進める予定である。
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