研究概要 |
生体物質及び病因物質を超高感度で測定するために免疫複合体転移免疫測定法を開発した。2,4ージニトロフェニル(DNP)化ビオチン化免疫反応体、測定物質、標識免疫反応体を同時に反応させ、3者からなる免疫複合体を抗DNP抗体不溶化固相の上にトラップした。固相を洗浄した後、DNPーリジンにより免疫複合体を固相から溶出し、ストレプトアビジン不溶化固相の上に移し換え、固相上の標識を検出した。標識免疫反応体として大腸菌・βーDーガラクトシダ-ゼ標識アフィニティ-精製抗ヒト・フェリチンFab'を用いることにより、ヒト・フェリチンの1 milliattomole(1x 10^<ー21> mol、600分子)を検出することができた。同じ方法により、B型肝炎ウイルス表面抗原、ラット肝オルニチンδーアミノトランスフェラ-ゼなども超高感度で測定できることがわかった。標識免疫反応体として大腸菌・βーDーガラクトシダ-ゼ標識抗原あるいは西洋ワサビ・ペルオキシダ-ゼ標識抗原を用いることにより、抗インスリン抗体、抗サイログロブリン抗体などの測定を、赤血球凝集反応、ELISAなどの従来法と比べて2,000〜4,000倍高感度化することができた。この超高感度免疫複合体転移免疫測定法は、合成ペプチドあるいはリコンビナント蛋白を抗原とする抗HTLVー1抗体、抗HIV抗体の測定にも応用することができ、ゼラチン粒子凝集法、ウエスタンブロット法などの従来法では検出しえない低濃度の抗体を検出することができるので、これらのウイルス感染の診断に役立つことがわかった。これらの免疫複合体転移免疫測定法をさらに高感度化するために、免疫複合体を固相から固相へ2度転移させる方法を開発した。免疫反応体をジスルフィド・フルオレセインにより標識して、抗フルオレセイン抗体不溶化固相から還元により溶出した。この方法を小分子ペプチドの非競合測定法(ヘテロ・サンドイッチ法)に応用して、1attomoleあるいはそれ以下の検出が可能になりつつある。
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