研究概要 |
1.大部分のスフィンゴ糖脂質が、還元末端側にラクト-ス構造を持っていることに注目し、そのベンジル誘導体を糖脂質のモデル物質(糖受容体)として用いて、いくつかの糖供与体とのグリコシル化反応について検討した。用いた糖受容体は、ベンジル2,3,6,2',6'-ペンタ-O-ベンジル-β-D-ラクトシド、その4'-O-アセテ-トおよび4'-O-ベンジル体の3種。糖供与体としては、ガラクト-ス、2-アジド(後にN-アセチル基に変換)ガラクト-ス、ラクト-スおよび2-アジドラクトサミンの1-ハロゲン糖を用い、それぞれについてグリコシル化反応条件を確立した。この結果は、第12回糖質シンポジウム(大阪、1989)で発表した。また、それぞれの反応の位置選択性、立体選択性、収率に関する知見および生成物のNMRデ-タは、次の糖脂質に反応する際の基礎デ-タとして用いられた。 2.ヒト赤血球から単離したグロボシドに対して選択的イソプロピリデン化反応を行ない、末端糖鎖(N-アセチルガラクトサミン)の3,4位以外の水酸基をすべてベンジル基で保護した糖脂質受容体を得た。この結果は、第10回国際複合糖質シンポジウム(イスラエル、1989)で発表した。これをさらに3位の水酸基だけが開いた化合物に導き、1で確立したグリコシル化反応条件を適応してForssman、Para-Forssman、SSEA-3抗原などの糖脂質を化学合成することを目下の研究課題としている。
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