研究概要 |
抗アセチルコリン合成酵素単クロ-ン抗体はDrosophilaの神経組織(主として、神経網)に特異的に結合することが示されている。この単クロ-ン抗体はアセチルコリン合成酵素以外にも約150Kダルトンのタンパク質にも強く結合することが明らかになった。従って、この150Kタンパク質は神経組識特異的タンパク質と期待され、その実態を明らかにする目的で、このDNAを単離した。その塩基配列より、このタンパク質のC末端アミノ酸配列(約400アミノ酸残基)が明らかになった。その結果、このタンパク質のC末端構造には、Gln、Glu、Arg、の三種のアミノ酸含量が非常に高く、また、くりかえし配列がいくつか見られるなどの、特異的な構造を有していることが明らかになった。 抗西洋ワサビペルオキシダ-ゼ(HRP)抗体は、Drosophilaの神経細胞と特異的に反応し、そのエピト-プはHRPの糖鎖と共通の構造を持つと推定されている。この神経細胞に特異的糖鎖エピト-プ構造を明らかにするため、HRPの糖鎖を単離した。その主要な糖鎖はGlcNAc,Man,Fuc,Xyl,からなり、その構造はNMRによって(Fuc)_1(Xyl)_1(Man)_3(GlcNAc)_2Asnであることを明らかにした。さらに、糖鎖のどの糖残基にエピト-プ活性を持っているかを明らかにするため、糖鎖を種々のグリコシダ-ゼで消化し、そのエピト-プ活性を調べたところ、主として、α1→6Man、とαl→3Fucががエピト-プ活性に関していることが明らかになった。
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