研究概要 |
先年度に引続きDesulfovibrio vulgaris Miyazakiの各種電子キャリア-タンパクのうち,特に高分子量シトクロム(hmc)を中心に構造と酸化還元特性について詳しく研究し,以下の成果を得た。 1.精製法の改良:従来hmc精製除上の変性と分解のため精製収率が著しく低かったが,原因はセファクリルSー200カラムクロマト以前の標品が特に共存プロテア-ゼによる低分子化を受けやすいことをつきとめ,これを避けて高純度hmcを高収率で精製できるようにした. 2.アミノ酸組成とへム含量:定量的アミノ酸分析とスペクトル分析より分子量67000当り12ヘムを含むシングルペプチドである. 3.スペクトル特性:シトクロムC_3と類似し,純度インデクス(還元型A_<553>/A_<280>)は2.6,メチオニンリガンド特有の695nmピ-クは存在しない。Hmcの完全還元ではソレ-領域の差スペクトルは420nmにピ-クがくるが部分還元では424nmと434nmにダブルピ-クが出現した.ヘムの部分還元によるコンフォメ-ション変化による配位状態の変化か,還元除上のハイスピン型出現の可能性等が考えられる。 4.酸化還元特性:Hmcの12ヘムのうち1個はアスコルビン酸で還元される高電位ヘムである.他のへムはhmcーFMNの酸化還元平衝混合物のネルンストプロットよりE^<01>=ー187mV,見かけのn=O.48と測定した.これをもとに,個々のヘムの標準還元電位を計算した.1個の高電位ヘムはHisーHis配位以外の軸リガンドをもつと想定した.Hmcの12ヘムの標準還元電位はこの菌の他の電子キャリア-タンパクの標準電位とこの菌のエネルギ-代謝反応の標準電位をカバ-する.Hmcが電子供与系と硫酸還元系を繋ぐ役割をもつ可能性を示す. 5.部分配列:Hildenborough株hmcとの相同性が認めらたが,シトクロムC,C^3を含め他のタンパクとの近緑性は認められなかった.
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