研究概要 |
1.大腸菌によるヒトプロラクチン(hPRL),ヒト成長ホルモン(hGH)及びヒラメ成長ホルモン(fGH)の大量発現と精製法の確立 (1)Tagプロモ-タ-を有する発現ベクタ-とhPRL,hGH,fGHのcDNAより構築した発現用プラズミドを大腸菌に導入し,各ホルモンを大腸菌蛋白質の20%もの高率に発現させることに成功した。 (2)大腸菌で発現した各ホルモンをグルタチオンによりリフォ-ルディングさせ,ゲル濾過,イオン交換クロマトグラフィ-により均一に精製する方法を確立した。 2.大腸菌より得たhPRL,hGH,fGHの生理活性の解析 (1)大腸菌より得たhPRLとhGHの生理活性を,それぞれNーアセチルラクトサミン合成酵素誘導作用及びラットNb2リンフォ-マ細胞の増殖促進作用を指標として測定し,いずれも天然のホルモンと同等の生理活性を有することを明らかにした。 (2)大腸菌より得たfGHの生理活性をニジマスに対する成長促進効果を指標として測定したところ,大腸菌に発現させて得たブリGHと同等のホルモン活性を有していた。したがって,他のGH分子に比べ,fGH分子に欠けているC末端側の13〜14アミノ酸残基よりなる領域はGHの成長促進作用にとって必須でないことが判明した。 3.ウシ胎盤のプロラクチン様ホルモンの構造解析 ウシ胎盤cDNAライブラリ-より4種類の新規プロラクチン様ホルモンのcDNAクロ-ンbPLPーI,bPLPーII,bPLPーIII,bPLPーIVを単離し,一次構造を解析した。このうちbPLPーIV蛋白質は,他のすべてのPRLーGHファミリ-蛋白質に保存されているC末端付近の2つのシステイン残基を有しておらず,プロラクチン様ホルモン活性にはこの2つのシステイン残基は必須でないことが示唆された。
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