研究概要 |
近年、線維芽細胞を筋細胞に分化誘導する一連の遺伝子、MyoD・myogcnin・Myf5・MRF4のcDNAが相次いでクロ-ニングされた。これらの遺伝子産物は互いにホモロジ-を有する核蛋白質で、筋芽細胞で特異的に発現される。我々は、筋分化におけるこれらの遺伝子の役割を探る目的でまずマウスのMyoDおよびmyogeninのcDNAを単離した。さらにこれらのcDNAをプロ-ブに用いてニワトリのMyoD(CMD1)およびmyogenin,さらにニワトリのMRF4を単離した。その結果 myogenin cDNAはマウスで224残基,ニワトリで227アミノ酸残基の蛋白質をコ-ドしており、すでに報告されているマウスmyogeninの配列は、frome shiftにより155番目以下のアミノ酸が間違っていることがわかった。このことは、遺伝子構造の解析からも確認された。訂正したmyogeninの構造はmycーホモロジ-のある領域の他にC末にもMyoD,Myf5,MRF4とホモロジ-のあるドメインを有することが見出された。これらのcDNAをヒトβーアクチンのプロモ-タ-に連結した発現ベクタ-を作成し、マウス線維芽細胞あるいはニワトリ初代培養線維芽細胞に導入することにより、次のようなことを明らかにした。(1)MyoDの方がより多核でより長い筋管を形成する。(2)myogeninは培地中の血清濃度の低下にともなって内任性MyoDーmyogenin両遺伝子を活性化し、それに対しMyoDは非依存的にそれらを活性化する。(3)MyoDは、先に我々が見出した筋細胞特異性を示す骨格筋型シオシン軽鎖LC1のエンハンサ-に結合しプロモ-タ-を活性化することができる。(4)myogeninやMRF4はエンハンサ-に結合するがこれを活性化することはできず、従ってこのエンハンサ-はMyoO特異的なエレメントである。(5)myogeninはプロモ-タ-を活性化し、この場合はエンハンサ-以外の領域をさらに必要とする。これらの結果をふまえ、マウスmyogenin遺伝子も単離した。
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