研究概要 |
奇形発生過程に関わる熱ショック蛋白とCーfos,Cーmycプロトオンコジンの役割を調べる目的で二次元電気泳動法,免疫組織化学,in situ hybridization等を行なった。材料と方法:妊娠ラット8日目にCfー252,60ラドスはCoー60,200ラド照射し高率に心奇形を惹起さす予備実験の結果を基盤として被曝例や非被曝例の対照の胎令13日目胎仔を摘出し主として心臓について調べた。結果と考察:何れの方法でも胎令8日目に被曝した症例で対照に比べてhsp,Cーfos,Cーmycの高まりが認められた。免疫組織化学やin situ hybridizationの結果ではhspは主に心内膜床細胞心筋細胞の細胞質の一部に認められた。Cーfos,Cーmycは同様に主に心内臓床細胞,心筋細胞,心筋細胞の一部の核質に認められた。プロ-ブをかけない例では反応が認められないので反応を示した症例は遺伝子の発現を現していると思われる。In sitn hybridizationではpositive controlとしてアデノウイルスtype2DNAを用いて当核ウィルスに感染したHeLa細胞との反応も行なった。本実験としてhsp,Cーfos,CーmycのRNAプロ-ブを用いて胎仔心から抽出したmーRNAとのhybridizationをbiotinラベル法により行なった。何れの方法でも非照射の対照は照射群より弱い反応を示した。以上の結果から心臓の正常および異常発生に重要な役割を演ずる弁や中隔を形成する心内膜床細胞および心筋細胞にもプロトロトオンコジンの活性が高まっていることが示唆された。 今後心奇形の各々の型と各遺伝子の発現部位の詳細について経時的に追求する必要がある。
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