研究概要 |
種々の耐放射線性光ファイバの14MeV中性子、熱中性子及び^<60>Coーγ線照射による伝送損増加特性について調べた。電荷捕獲準位を仮定した着色中心の生成と消滅に基づく伝送損失増加モデルを提案し、光ファイバの放射線応答特性について考察した.その結果、光ファイバ中の主要な着色中心は、光ファイバの構造、不純物などに依存した電荷捕獲準位かて生じ、その生成と消滅の速さの違いで、光ファイバの伝送損失増加特性がほぼ説明できることがわかった。また、いずれの光ファイバも14MeV中性子とγ線の照射応答に大きな差はなく、主要着色中心の生成量は概して吸収線量で決まることがわかった。しかし、ホウ素がド-プされている光ファイバについては熱中性子場で(n,α)反応により、γ線照射によるものとは若干異なる着色中心が生成されるようである。純粋石英コア光ファイバでは回復の遅に着色中心の割合が相対的に増え、コアにド-バントを含む光ファイバでは回復の速い着色中心の割合が増える傾向がみられた。また単位吸収線量当りの主要着色中心の生成量は(n,α)反応による方がγ線照射よりも1〜2桁小さいことがわかった。また、本研究では非常に複雑なため着色中心そのものの構造やそれらの光吸収過程や反応断面積などのミクロな議論は行なわなかった。しかし、光ファイバの放射線応答を正確に取る扱うためには、現象論的な話だけでは限界があり、伝送損失増加のメカニズムの正確な解明が必要である。上記のミクロな議論を避けら通ることができないと思われる。今後の重要な課題である。
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