研究課題/領域番号 |
01580259
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生体物性学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
和田 昭允 東京大学, 理学部, 教授 (10011462)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1989年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | プロテア-ゼ感受性 / 蛋白質の安定性 / 露出表面積 / 第1切断部位 / チトクロムC |
研究概要 |
本研究では、相同な蛋白質分子上の局所的なプロテア-ゼ感受性を定量的に評価する一方、様々な局所的物性量をX線構造デ-タをもとに評価し、プロテア-ゼ感受性を規定している物性量を抽出することを目的とした。まず、基質として、互いに相同な複数の蛋白質チトクロムCを用いることにより、アミノ酸残基置換の影響を調べ、一方、基質特異性の異なる複数のプロテア-ゼを用いることにより、プロテア-ゼにはよらない基質蛋白質固有の特性を抽出した。次に、プロテア-ゼによる切断部位がチトクロムC分子中で、どのような特徴を持っているかを調べるために、露出表面積、温度因子、疏水性度、および分子間相互作用に関与していると考えられる静電ポテンシャルを計算し比較した。キモトリプシンによる第1切断部位については、ウマでは48番目のチロシン、ウサギでは46番目のフェニルアラニン、マグロは46番目のチロシン、そしてイヌでは46番目のフェニルアラニンおよび48番目のチロシンであることがわかった。また、これらの切断部位での切れやすさは、イヌ<ウマ<ウサギ<マグロの順であった。別の特異性を持つプロテア-ゼV8でも、この順序は変わらず、また、マグロのチトクロムCについては、第1切断部位は44番のグルタミン酸であることがわかった。この結果、チトクロムCTは種によらずに、40番から50番残基付近が、プロテア-ゼ感受性の最も高い部位であることがわかった。従来の方法、および温度因子や疏水度との相関は明確ではなかったが、本研究で開発した新しい表示法を用いることにより、40ー50残基付近は分子中で最も露出度の高い領域に属することがわかった。静電ポテンシャルについては、チトクロムCとキモトリプシンが、いずれも双極子型の分布を持つことが確認されたが、切断部位と活性部位とに特に相補性は見られなかった。
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