研究課題/領域番号 |
01580260
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生体物性学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白木原 康雄 東京大学, 理学部, 助手 (20150287)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1989年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | X線結晶解析 / たん白質結晶化 / 溶解度温度依存性 / F1-ATPase / DNAポリメラ-ゼβ / リゾチ-ム |
研究概要 |
近年の蛋白質の一次構造情報の増加に比べて、蛋白質の三次元構造情報の増加は微々たるものである。三次元構造情報が蛋白質の理解に本質的な役割を果たしており、更に多くの独立な三次元構造情報を私達は必要としていることを考えると、三次元構造研究の高能率化を図らなければならない。蛋白質X線結晶解析の場合律速段階である結晶化条件の確立の過程を高速化することによってこの要請に応えることが出来る。この研究では、蛋白質の結晶化剤のなかでの溶解度が温度に依存していることを積極的に利用し、非常にゆっくりした温度変化を結晶化母液に加えることにより結晶を生成するという、新しく原理的に優れた蛋白結晶化法を開発しようとした。 非常にゆっくりした温度変化の可能なインキュベ-タを使い、これまでに溶解度の情報が良く知られているF1-ATPase、ラットDNAポリメラ-ゼβ、リゾチ-ムについて結晶化剤の種類、濃度、温度変化の様子などのパラメ-タを変えて、結晶化実験を行った。 第一の結論は、始温度と終温度での溶解度の差が大きい場合のみこの温度変化法が有効であることである。結晶化剤が硫安、リン酸の場合はこの差が小さく、従ってこの方法は威力を発揮しなかったが、ポリエチレングリコ-ル(リゾチ-ムの場合は食塩)の場合は、差が大きくその効果は大きかった。 第二に後者のポリエチレングリコ-ルを用いた場合は、温度変化をさせたときのみF1-ATPase、ラットDNAポリメラ-ゼβが結晶化した。またリゾチ-ムの場合、温度変化させた場合の方が始温度と終温度とにそれぞれ温度を固定した場合に比べて良質な結晶を与える結晶化剤の濃度範囲が広いことが解った。 第三に温度変化の速度は、20度/1週間が最適であった。 以上、温度変化法は結晶化の確率を増大させ、特に結晶化条件の初期探索に絶大な効果を持つことが解った。
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