研究概要 |
立体についての情報を紙にかいて伝達する場面設定で,小・中・高(1年)を対象に,情報の送り手および受け手としての,立体の図表示および図の読み取りに関する調査・研究により,次の新たな知見を得た。(立体模型として,7個の木製立方体から構成されたポリキュ-ブ模型と正四角錐スケルトン模型を使用した。) 1.四角錐スケルトン模型の図表示では,次の諸点から,生徒の図表示の発達的特徴を明らかにした:(1)図の立体性 (2)図の対称性 (3)立体の底面を表す図の形(正方形,長方形,台形,平行四辺形)。 2.ポリキュ-ブの図表示および図表示の読み取りと立体の組み立てでは,小・中・高1を全体としてとらえ,次の諸点を明らかにした。 (1) 生徒が描くポリキュ-ブ模型の状態描写には,主としてその生徒がもっている立体の全体像が反映し,構成描写には主として立体の構造,構成法が反映する。 (2) 状態描写には、立体模型をその面の形及びいくつかの面の形の組合せとしてとらえる直角投影図の流れと,立方体の組合せとしてとらえる見取図の流れとがある。 構成描写には、立体の組み立て方が系統立っていく流れがある。 (3) 構造や組み立て方の考察の深まりは、立体の全体像を変容させ,状態描写として表出する。立体の構造,組み立ての側面を立体の全体像の側面の両面からの把握ができて,図の読み取りが可能になる。 (4) 立体の図表示および図の読み取りには,子どもの発達に特有の次の段階がある:(1) 図を模型(物)とみる段階 (2) 図としてみる段階 (3) 立体図型(概念)としてみれる段階。 (5) これらの知見をもとに,立体の二次元表示(図表示)の役割を明らかにし,それついいては報告書に述べられている。
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